作家情報
坂本 夏海(さかもと なつみ)
グラスゴー在住。アーティスト。2014年ロンドン芸術大学チェルシーカレッジオブアーツ大学院ファインアート学科修了。個人的な物語を起点とし、リサーチ、インタビュー、映像やドローイングを含む領域横断的な実践を行う。近年は世代間の記憶や語られない女性の歴史を集め、そこから新たなストーリーを編むことに関心がある。コラボレーションでの活動も多く、フェミニズムに焦点を当てたアーティストコレクティブ Back and Forth Collectiveの活動も行う。最近の主な発表/企画に、「Voicing Care?ケアの声」(ジェニファー・クラークとの協働キュレーション)個展「Knitting the Intangible Voices」(16 Nicholson Street gallery、グラスゴー)がある。https://www.natsumi-sakamoto.com
上映情報
「Knitting the Intangible Voices」
(アニメーション/2分30秒)
「Knitting the Intangible Voices (邦題: 無形の声を編む)」は、スコットランドのハイランド地方に伝わる女性労働歌「waulking song」をテーマに、繊維業の女性労働について考察したドローイング・アニメーション作品。waulking(ウォルキング)とは織られたツイード生地を浸し、リズミカルに叩いて収縮させ柔らかく仕上げる技術で、 工業化以前までは女性の労働として手作業で行われていた。女性たちが10人ほど集まりテーブルを囲み、過酷な手作業を軽減するために歌いながら労働するという当時のコミュニティの在り方は、女性の声を聞き、社会へ届けるという女性の連帯のモデルとして大変興味深い。労働する手のジェスチャーや、女性運動の歴史から想起されたイメージを水彩絵の具で描いたドローイングで構成されるこの作品は、古来から全世界的に女性の仕事とされてきた繊維業を通じて、女性の労働の搾取的な構造や女性の連帯の可能性を問いかける。
12月4日(土) 18:15-20:00 上映プログラム①:エクスペリメンタル・ショートにて上映
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