作家情報
池添 俊(いけぞえ しゅん)
1988年香川県生まれ、大阪府出身。池添は、個人の声や記憶を収集し、普遍的な声へと再構成するスタイルで制作している。中国人の継母との生活を描いた『愛讃讃』(2018)が、イメージフォーラム・フェスティバル2018 で優秀賞を受賞。同作は、第40回ぴあフィルムフェスティバル、第43回香港国際映画祭などで上映される。育ての親である祖母の声から作った『朝の夢』(2020)は、第31回マルセイユ国際映画祭、第56回ペサロ映画祭、第58回ニューヨーク映画祭など多数の映画祭で上映。また、パンデミック下の生活で内なる声に耳を傾けた『あなたはそこでなんて言ったの? 』(2021)が第59回ニューヨーク映画祭から正式招待される。そのほか、アーティスト・イン・レジデンス「現代地方譚8」(2021)、グループ展「暗くなるまで待っていて」(2021)に参加するなど、その活動は上映のみに留まらず、発表の場を拡張している。https://www.shunikezoe.com
上映情報
「朝の夢」
(ドキュメンタリー・フィクション/18分30秒)
目覚めた時にはあの人はもういないかもしれない -
私にとって「母」は、私を育ててくれた祖母でした。その祖母が今、死に向かっています。祖母の話を聞いておかないと絶対に後悔すると思い、2年前の夏から祖母の元へ通い、少しずつ声を拾い集めてきました。祖母は年明けに体調を崩し、もうこの作品を作った時のようには話せません。記憶が混濁したように話す姿を見て、「今あの人は記憶の夢を見ている」と父は言いました。その頃、祖母と一緒に暮らしていた家が売りに出されようとしていました。そこで、家の息吹をフィールドレコーディングし、祖母の声とミックスしました。そして8mm フィルムで夢を撮りました。「明け方に見る夢はあの世からのお告げである」という話を聞いたことがありますが、”あの世”とは一体どのような世界なのでしょうか。祖母は一体どんな夢を見ているのでしょうか。この作品は私の「母」である祖母へ捧げます。
12月4日(土) 18:15-20:00 上映プログラム①:エクスペリメンタル・ショートにて上映
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